
ちょっとおしゃれなおつまみやパーティのオードブルに欠かせない生ハム。いつの間にかイタリア産の生ハムが輸入禁止になり、目に触れることなくなったのは知っているだろうか?
世界3大生ハムの一つと言われるパルマの生ハム。そんな有名な生ハムがどうして食べれないのか。今回はそんな生ハムについてまとめてみた
パルマの生ハムとは

イタリア語で”Prosciutto di Parma”(プロシュットディパルマ)と呼ばれる。イタリアのパルマの中の限られた地区で生産された生ハムものをいう。同じくパルマの名物であるチーズ(パルミジャーノ・レッジャーノ)の生産された際に出る乳清を餌に加えることで肉質が柔らかくなると言われる。パルマの中でもランギラーノのいう町はトレッキアーノ城という15世紀からある美しい古城があり、その周辺で生ハムを生産する工場が200件余りある。その歴史は古く紀元前からパルマ周辺で作られていたという。

2000年以上前から作られてたなんて、歴史の重みが違うんだよな・・・
材料は 豚肉、塩、後は乾燥防止にラードを塗るだけ


塩と肉だけで、あんな複雑な味になるのか?

ああ、余計な保存料や添加物は使わない。様々な工程をへて長期間熟成させるうちにうま味成分のアミノ酸が形成されていくんだ。

いかに最小限の塩で、豚肉のうま味を引き出し、柔らかく甘みのある生ハムに仕上げるため、塩をすりこむ専門の職人がいるんだぜ!
”マエストロ・サラトーレ”(塩漬け職人)が塩をすりこむ
厳選された豚のもも肉を成形し、職人が一つ一つ、塩を使い分けてすりこむ。機械ではできないわずかな肉質の違いや部位ごとの塩梅を判断し、血抜きをかねてマッサージしていく。

なんか気持ちよさそうじゃねーか

試してみるか?
冷蔵庫で熟成
塩をしてから1週間。再び塩をすりこみさらに2週間ほど熟成される。そのあと湿度75パーセントに保たれた冷蔵庫で70日ほどおき、ぬるま湯で表面の汚れや余分な塩分を落とす。そこから乾燥室へ送られ乾燥される。
最低1年は乾燥させる。
イタリア、パルマの生ハムは皮に覆われている。皮は塩分の浸透を穏やかにし、適度な水分を保ってくれる。しかし豚肉を切って加工上、どうしても皮のない部分ができてしまう。

どうすんだよ?

米粉を混ぜたラードをその部分に塗りつけるんだ、スーニャトゥーラと呼ばれてる。
ラードが塗られることで均一に乾燥、熟成が進んでいく。そこから最低1年は光の当たらない貯蔵庫で熟成させられる。

めちゃくちゃ手間と時間かかるじゃねーか・・・旨いわけだ。
馬の骨でできた針で職人が香りを嗅いで一つずつ熟成を確認。選ばれた者だけがパルマの生ハムとして出荷されていく。


食べてみたくなったぜ!パルマの生ハム

残念だがいま日本には輸入できなくなっている。食べることができないんだ。

ええ!?なんでだよ!?

アフリカ豚熱という病気がだな・・・
危険なアフリカ豚熱がイタリアで発生。日本への豚肉の輸出が禁止に
アフリカ豚熱(ASF)は豚やいのししに感染する危険な病気。ワクチンや薬など対策がないため発生した国の畜産を揺るがすため、日本へ広がることを防ぐために輸出が制限されているのだ。
2022年にイタリアで発生し、2025年現在加熱処理されたものは日本国内でも出回っているが、加熱工程のない生ハムは依然輸入禁止なのである。
いつ解禁されるのか?
現在もたびたびアフリカ豚熱の発生が伝えられているイタリア。完全にウイルスの残存がなくなったのち、上記の長い工程を経てから出荷されるまでは日本では残念ながら食べることができない。まだまだ何年もかかるのでは?その日を待つしかない。

それまでおあずけかよ・・・

それまでは国産や他の外国産で我慢するしかないな
隣国スペインの生ハムは日本でも食べられる

スペイン産の生ハム、ハモン・イベリコやハモンセラーノなどは現在の日本でも手に入る。プロシュットディパルマと違い、皮がついてない状態で塩漬けされるため、より凝縮した濃厚な味が楽しめる。
今回は生ハムについて語ってきた。素材はシンプル故に奥の深い世界。今は食べれないパルマの生ハム。いつか輸入が再開されることを願うのである。